「倭乃里」から車で1時間ほどのところに、合掌づくりの集落「白川郷」はあります。正確には白川郷の荻町と五箇山の相倉、それに菅沼の3集落で形成されています。「人類の歴史上重要な時代を例証する、ある形式の建造物、建築物群、技術の集積、または景観の顕著な例」などの基準を満たすものとして、1995年に世界文化遺産に登録されました。

日本有数の豪雪地帯である飛騨地方一帯では、雪下ろしの作業軽減と養蚕(ようさん)に必要な屋根裏の容積を確保するために、鋭角な茅葺き屋根の住居になったようです。高台から集落を見下ろすと、ほとんどの合掌家屋が同じ方向を向いて建てられていることに気づかされることでしょう。これは東西に動く太陽の光をできるだけ長く受けて雪を溶かし、屋根を乾かすためのものです。同時に、南北に吹く風への抵抗を最小限に留める役割も果たしています。

これらの合掌家屋の多くは戦後の経済成長にともなって取り壊されてしまいましたが、白川郷や五箇山は周辺地域の道路整備が遅れたため、奇跡的に残されることになったのです。しかし、茅葺きの大屋根は葺き替えに1週間以上もの時間と労力が必要で、一般住民が生活を続けながら同時に家屋の保全活動に取り組むことは容易なことではありません。これらの貴重な文化遺産を今も支えているのが「結(ゆい)」と呼ばれる助け合いの精神による共同作業です。20年から30年に一度の茅葺きの葺き替え作業も、運が良ければ間近で見ることができるでしょう。

合掌造りに特色づけられる独特の文化が色濃く残るこのような日本の原風景は、ミシュランの旅行ガイドで三ツ星を獲得するなど海外からの注目も高く、現在では観光名所として多くの人で賑わっています。
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